《Kick off 闘鶏》
Cock fightings Rize,with the Prize.

2024年 F15号(W65.2×H53.0cm)
販売価格 ¥265,000-(税込)

画材[自作白墨(鳥骨、膠、粘菌オオムラサキホコリ(兵庫)、トビゲウツボホコリ(和歌山)、ウニ殻、カラッパ、ヒミズ骨、珈琲(グアテマラ産)、UV保護ニス、防腐剤(柿渋・亜麻仁油)、岩絵の具、顔料、ミネラルスピリッツ)に天然日本岩絵の具等で着彩]

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【軍鶏老いて 金秋の声 絞りけり】
(桐山大志)
訳/肉塊にならず歴戦を生き抜き天寿の前で吠える鶏こそ、まことの武士だ。
 
闘鶏(とうけい):二羽の鶏が戦闘不能になるまで競わせる賭博。
江戸時代から爆発的に流行り始めた背景には、タイから輸入伝来して国内独自に改良され産まれた軍鶏種が影響する。闘争心が強く、必ずどちらかが死ぬまで闘うことをやめない。

大軍鶏は 1941 年、畜養天然記念物に指定。片足に刃物を括り付けて戦いに負けた個体を食肉とする地方もある。

奈良時代で既に我が国で陰暦 3 月 3 日の宮廷占い行事として存在。
南方熊楠氏の妻・松枝さんは、平家物語の「壇ノ浦合戦鶏合」故事に由来する鬪雞神社宮司の四女。
源氏と平氏から熊野水軍の援軍を要請された武蔵坊弁慶の父と伝わる熊野別当(熊野三山の法躰)湛増が両方の命運をかけた神意を占い、紅白7羽による闘鶏をした。白の源氏鶏が圧勝、熊野水軍は源氏に加勢。結果はご存じの通りだ。


私は冒頭の桐山大志の句を引用してこの作品紹介を終えたい。
鶏も源平も、勝つか負けるかの二択しかない状況で互いに切磋琢磨し、残った方が啼ける。

傷だらけになった敗者は只食われるのだ。どこまで続く泥濘ぞ、と。